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労災給付金との損益相殺

損益相殺とは

交通事故の被害者は、事故により加害者に対して損害賠償請求権を取得することになりますが、たとえば通勤中の事故であれば、通勤災害として労災保険からも給付が受けられます。しかし、このように同じ事故で保険給付等の利益を得ると、被害者が実質的に賠償金を2重取りすることになってしまい、不当です。このような場合、交通事故で受け取れる損害賠償額から受け取った(もしくは受け取り予定の)利益相当額は控除されることになりますが、これを損益相殺といいます。

具体的にいかなる場合にいかなる範囲で損益相殺の対象とされるかについては、給付の趣旨、給付と損害賠償との調整規定(代位規定、免責規定)の有無、損害との同質性、給付に関する対価性の有無等を勘案して判断されることになります。

控除の対象となるのは?

・既給付の場合

交通事故の被害者等が社会保険給付を受けた場合、損害賠償との同一性が認められる範囲で、その給付価額が損害賠償額から控除されることになります。

控除の対象となるのは、労働者が業務中あるいは通勤の際の交通事故により損害を被った場合に労災保険法に基づきなされる各種の給付(療養補償給付、療養給付、休業補償給付、損害補償給付、遺族補償給付等)です。非常に簡略化して説明しますと交通事故の賠償金のうち、治療費、休業損害、後遺障害逸失利益に相当します。

その他、健康保険法・国民健康保険法の傷病手当金、国民年金法・厚生年金保険法の遺族年金や障害年金に関しても損益相殺の対象となります。

・未給付の場合

社会保険給付の中には、年金など長期給付を予定するものがあります(労災では後遺障害等級7級以上)。
例えば、労災保険法に基づく傷病補償年金、障害補償年金、遺族補償年金、厚生年金法に基づく障害厚生年金等です。

これらのうち未給付分については、現実に給付がなされたのと同視しうる程度にその存続および履行が確実であるときに限り、加害者の賠償すべき損害額から控除されることになります。

また、労災年金の年金が支給される前に交通事故の賠償金を受領すると年金は災害発生後7年以内の期間において、支給されるべき年金額が受領済みの賠償金の額に達するまでの間、支給が停止されます。

・労災保険法における特別支給金等

労災保険から給付金には、労働者福祉事業として特別支給金(休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、傷病特別支給金、障害特別年金、障害特別一時金等)がありますが、これらの特別支給金等は、損害賠償との調整規定や代位規定がなく、損害を填補する性質を有するものではありませんので、損害賠償額からの控除されることはありません。

このように特別支給金については損益相殺の対象にはなりませんので、労災保険についても同時に請求しておくほうが被害者にとっては有利となります。ただし、労災保険から慰謝料入院中の諸雑費は支払われません。休業補償も平均賃金の6割となっていますので、この点については自賠責保険よりも劣っています。

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